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100年企業と不思議の国のアリス

毎週火曜日の日本語ボランティアは、なかなか刺激的な2時間です。いろいろな意味で。

今週は、今「旬」な中国の学生2人の担当になりました。今日書きたいのは、日中関係ではなく、そのうちの一人の女子(彼女は下の名前が鑫! お金に困らないようにとのご両親の願いが伝わってきます。それにしてもすごい漢字があったものです)と、途中で彼女の相談に乗ってくれた「団塊の世代」のナカヒラさんのことです。

最初は2対1で話していました。鑫さんが卒論のテーマを「日本の百年企業」に決めた、と発言した段階で、組み合わせにあぶれていたナカヒラさんが助っ人に入ってくれました。

「ちょうどいい。日本の企業のことなら、このおじさまの方がいいよ」と思い、鑫さんの卒論のことを頼んだら、「へ~。私がいた会社も百年企業だよ。会社の歴史は400年なんだ」と言ってくれたので、「ビンゴ!」です。鑫さんが持っていた百年企業についての本にも紹介されていた会社なので、もう、ますます◎!

ナカヒラさんも、自分の得意分野で話せるとあって、うれしかったみたい。すごい勢いでしゃべり始めて、鑫さんにキーワードを授けていました。

「100年以上続いている企業をいくつか調べて共通点を探すとしたら、そういう作業を抽出っていうんだけれど、それはなかなか難しい。だれにでもできることではないけれど、私なりに考えて一つの共通点と言えるのは“変化”だね」

なるほど~。

「長く続けていれば、環境は変わる、人の考え方も変わる。社長だけが変わるぞーと号令をかけても、社員が一緒になって変わらなければだめだ。人間は保守的だから、変化するのは嫌なんだよ、基本的に。でも、会社が生き残るためには、絶対に変化することが必要なんだよ」

なるほど、なるほど~。

もう辞めてしまいましたが、私がかつて在籍していた企業も一応100年企業で、今、世の中の大きな変化のうねりの中でもがいています。先輩からくる年賀状の内容が、年々、暗くなっているような……。変化に対応する苦しみの渦中にいるということです。

その晩、家に帰って、100年企業の現役会社員である夫に「百年企業に共通しているキーワードの一つが“変化”なんだって」と話をしたところ、「100年以上の企業なら、2回か3回は大きな波を乗り越えてきているはずだからなあ」と、これまた同じようなことを言っておりました。

日本には、長寿の企業が他国よりとても多いそうですね。578年創業の「世界最古の会社」も日本にあるほどです。老舗をありがたがる、というか、良しとするところが日本にはありますが、韓国では逆に、代々続く店は少ないと聞いたことがあります。

変化に対応するやり方として、会社組織や名前を守る形で対応しようとする日本と、だめになったらどんどんつぶして、新しい組織を立ち上げることを選ぶ文化の国では、比較するのも難しいです。まして中国人の若者の目には日本の老舗はどう映るのでしょうか?

それにしても日本に暮らして長い私ですが、「100年企業」という言葉、今回初めて知りました。時代に合わせて変化することも必要性でしょうが、経験の厚み、そして、「決して変えないこと」というのも100年企業にはあるのではないか、と思ったりしています。

さてさて、ナカヒラさんは次に、不思議の国のアリスに話を移しました。

「知ってる? アリス・イン・ワンダーランド(正式にはAlice's Adventures in Wonderland)なんだけどさ。くるくるくるくる動き続けている〇〇(何のキャラクターなのか聞き取れませんでした)が、『今のままでいたければ動き続けないとだめなのよ』って言うんだよ。つまり、そのまま何もしないでいたら、今のままですらいられなくなるっていうことを言っているんだよね。会社もそう。変わり続けないと。うまく変化できた企業が生き残っていくんだよ」

さて、本当にそんなシーンが不思議の国のアリスに出てくるのか知りたくなって、図書館で借りてきました。よく考えたら、私は不思議の国のアリスのストーリーを全然知らないのです。私の日常は、日々、勉強(に追われる)。