バスク旅行記⑥ 西仏国境の町オンダリビアへ
念願のバスク地方に到着した日は大雨。サンセバスチャンのホテルのフロントで
「もう1週間、ずっとこんな感じの雨降りよ」
と聞かされて、ざんね~~んな思いになっていたのですが、翌朝はピーカンでした!
この日は、バスで少し北上し、フランスとの国境の町オンダリビア(Honndarribia)まで行きました。
「行きました」なんて簡単に書いていますが、そもそも、行き方が分からないままバスク入りしたんですよ。
「分かんないことは現地で聞きゃいいよ。出来る範囲で行動しよう」
というのが、私たちの合言葉でした。
そして、ホテルのスタッフが私たちの命綱だと分かるや否や、シードラ醸造所などの予約を頼んだことはすでに書きましたが、オンダリビアへの行き方などは、夫が詳しく聞いてくれました。
私が部屋で寝転んでいると、上機嫌で戻ってきた彼は、
「あの年配のスタッフの人はすごいね」
とべた褒めしています。観光案内所スタッフばりの詳しさで、バスの時刻表まで印刷して渡してくれたそうです。若い男性の方は愛想はいいけど、オンダリビアへの行き方は、ちょっと怪しい感じだったとか。そこで、彼が席を外してほかの人が来た瞬間、再確認してみたところ、すべての疑問を解決してくれ、ネットで調べてくれたことをプリントにして渡してくれました。
路線バスでHondarribiaへ!
オンダリビアへのバスは、私たちが泊まっていたホテルから歩いて数分のバス停から乗ります。乗ったのはE21番バス。
天気がいいと気分がウキウキして、バス停の屋根や椅子までオシャレに見えます。
サンセバスチャンからオンダリビアまでは、30分くらいなので、一人4.6€。これも現金で払いました。
座席がこんな感じで微妙にずれているんですよね。どうしてでしょうか?ここは向かい合わせの席です。
色の組み合わせがすごくおしゃれ! 何だかスウェーデンの国旗(またはIKEA!)みたいです。日本ではこういう色の使い方、公の場所では見ませんね。
降りるときにブザーを押すのは、万国共通。これには「STOP」と書いてあるのがうれしい(だって分かるから♪)。
バスク地方は道路脇にもこのような伝統的な家屋が点在している様子が見えるから、バス旅の道中から盛り上がります。それにしても、空が真っ青。気温は低いので結構寒いのですが、屋内から見ている分にはぽかぽか陽気に思えるほどの快晴でした。
さて、オンダリビアに着きました。ホテルのスタッフから「空港を過ぎたら最初のバス停で降りろ」と聞いていましたので、彼を信じて「エイや!」と言う感じで降りることにしたのはいいのですが、通行人に地図を見せて場所を教えてもらい、「どうやらここでいいらしい」と確信が持てるまでに数分かかりました。
旧市街めぐりが楽しい
この日は土曜日。町の雰囲気もまったりしていて、そもそも、人通りが少ない。とりあえずインフォメーションを探しに行こうかと思っても、それがどこにあるのかも分かりません。ウロウロしていたら、通りかかった女性が、「インフォメーションを探しているの? だったら、この坂をずっと上って行って」と教えてくれました。わざわざ遠くから叫んで教えてくれたのです。これが、私たちの「バスクの人ってすごく親切~」体験の最初です。
バスを降りたら道路を渡り、メインの交差点(五叉路くらいになっている)から左に鋭角におれて、急な坂を上っていくイメージです。インフォメーションを意味する「i」とよく似たフォントの偽物「i」の看板ぽいものがありますので、間違えないように。
ちょっと歩いていくと、インフォメーションの看板と共に、パラドールの案内も見つかりました。そう、オンダリビアの旧市街には、パラドールが1軒あります。スペインでは、修道院とか古城とかを改修して高級な宿泊施設にしており、そのチェーンの名前をパラドールと言います。私もトレドのパラドールに泊まったことがありますが、なかなかステキな体験と言えます。
案内板もあったことだし、道は間違っていないだろうと坂を上る途中で、見えました、フランス! 向こう岸は、言葉も(かつては通貨も!)違う別の国ですよ。こんな体験は日本ではできないなあ。「あっちはフランス」と思ったとたん、なぜかすごくコーフンしたんですよね。どうして?
だんだん旧市街の趣が増してきました。そして、ついに、パラドールに到着。
好奇心もあって中に入らせてもらいましたが、スタッフの人がちょっと冷たかったので、早々に退散。
いや、要塞のようだ。宿泊客と思しき方々が三々五々、お散歩されていました。
この広場の反対側に、探していたインフォメーションがありました。ここのお姉さんも親切に色々教えてくれました。特に、ランチの予約をしてあるレストランまでの行き方が分かったのは収穫でした。「あそこはおいしいし、評判いいわよ」とウィンクされて、期待が高まった瞬間です。
このあたりは古くて写真の撮り甲斐がある建物や通りがたくさんあるので、本当に、歩いているだけで楽しくなります。
ね、素敵でしょ?
この写真を見て、「これ、プロバンス?」って聞きそうになりませんか? 行ったことないけれど、なんだかすごく南仏の感じがします。でもここは、北部スペインーーですが、フランスとの国境の町! 妙に納得。
この摩耗した敷石の風情がたまらなく好きなんですよ。いいなあ。
もう一つ、お好みの敷石の景色です。
本日はここまで。つ・づ・く