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高度人材が来ないってか?

日経新聞の今日の総合・経済面に「外国人専門家 なぜ来ない」という記事を読みながら、大きな違和感を感じていました。

記事では、技術者・研究者などの「高度な」人材が日本に来てくれないのは、外国人を受け入れる制度に課題があるからだ、みたいな趣旨でしたが、そんな制度なんてそもそも関係ないジャンルの外国人はじゃんじゃん日本に来ていると感じます。もっと言うと、国際結婚という形で、「高度」かどうかまったく問われずに日本に来る外国人のことは、日本政府はどう考えているんだろうと思うわけです。

日本語でおしゃべりをするボランティアをしていて、メインは留学生のお相手なのですが、時々、日本で働く外国人の子供をお預かりすることがあります。私たちのグループは、日本語を教える先生ではなく、一般市民の代表として、日本語を話す練習台になっているため、「一から教えてください」というタイプの人は、「日本語学校へ行ってください」ということで、やんわりお断りすることもあります。

でも、日本語学校に行ける身分なら、みなさんとっくに行っているわけで、仕事の事情や経済的な理由によって学校に行かれないからこそ、一回200円のボランティアの集まりに参加して、何とかしようとするわけです。

先週、日本語がまったくできない19歳、17歳、13歳を連れた某東南アジア出身の母親と彼らの新しい父親(と思しき日本人男性)がやってきました。お母さんは日本で5年以上看護の仕事をしているだけあって、日本語は達者です。英語もできます。子供には何とか、英語は話させようとしていました。

さて、その子供たちですが、母親の実家(つまり、かれらの祖父母)で育ってきたため、日本語はさっぱり分かりません。祖父が脳梗塞で倒れてしまって、おばあさんが子供たちの面倒を見られなくなったので、急きょ、母親のところにやってきたというわけです。

「ビザがとれたらここで学校に通わせるけれど、日本政府は私の国の人をあまり受け入れたがっていない」というのが母親の説明でした。こういうことを言っている段階で、日本人の子供ではない可能性が高いと私たちは思っています。それはそれで、もちろん、まったく問題ありません。念のため。

私たちが気にしているのは、あくまで、子供たちのことです。親の都合で、行きたくもなかった日本に呼ばれてしまった彼らにとっては、いい迷惑です。楽しそうにしていたのは一番下の子だけで、上の二人は渋々ついてきた感じでした。年齢的にも、日本の義務教育を受けられるのは一番下の子だけで、あとの二人は、何とか自力でしかるべき学校を見つけなければなりません。それまでの期間、日本語だれがどうやって教えるのか?

当面、私たちのグループに通ってくるなら、私たちが面倒を見ざるを得ません。しかし、私たちは彼らの教育に責任を負えません。

こういう人たちのためにも、夜間中学は存続してほしいと思います。

私は個人的には、できる範囲で彼らの力になりたいと思います。単純な親切心で言っているのではなく(もちろん、その気持ちもありますけど)、私が住む地域の安全を守るためという気持ちだってあるのです。日本語が出来なければ、まとまな仕事につくことは難しいし、「受け入れてもらった」という基本的な欲求が満たされにくくなります。そうしたら、たとえ家庭が円満だったとしても、面白くない気持ちにもなるでしょ? とにかく、私は自分の地域にはハッピーな人に住んでいて欲しいのです。それは日本人であろうと外国人であろうと、関係ありません。逆に、私は留学生から聞く話が面白くてハッピーな気分にしてもらっているので、彼らがいてくれて本当にありがたいわけ。

日経新聞の記事によると、学歴、職歴、年齢、日本語能力などを点数化して、合計点が基準を満たした「高度」な人材と見なされれば、優遇措置を受けられるという話。

一方で、そんなこととは無縁の外国人がたくさん日本には住んでいるんですよね。三兄弟のお母さんだって、人手が足りない看護の仕事をしてくださっている大切な人材ですが、その点数表では、基準を満たせるかどうか。でも、その人にも実子がいれば、突然、日本にやってくることもあるのです。

「人材」としてだけ活用しようとするのは、虫が良すぎます。「人材」は単なるスキルの提供者ではなくて、結婚したり子供を持ったり、親兄弟を大切にしたりする普通の「人間」ですから、場合によっては、「人材」のまわりの人も一抱えに受け入れる体制が、本当に必要になっていると感じます。もちろん、今後、日本国が色々な理由で外国人を受け入れようとするのであれば。