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米原万里さんを通して「知る」チェコ

米原万里さんの大宅荘一ノンフィクション賞受賞作『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を、息もつかずに一気に読みました。読んだのは、貼り付けたKindle版ではなく文庫版です。

 

 

プラハソビエト学校に小学生として通った米原さんが、当時の学友との思い出と、大人になってからの奇跡的な再会をつづったスゴイ本です。私自身は、そろそろチェコに旅行するということで、米原さんの思い出の中のプラハを興味深く読みました。

一番印象的だったのが、「芸術の町プラハ」の一端が語られる場面です。

ギリシャ系の同級生リッツァは長じて、ドイツはフランクフルト近郊で医師になっていました。リッツァに米原さんが「ドイツ人やドイツでの生活には満足しているの」と聞くと、リッツァは、

ぜんぜん。もちろん、病気じゃないかと思うほど街も公共施設も清潔なのは気持ちいけれど、ここはお金が万能の社会よ。文化がないのよ。チェコで暮らしていた頃は、三日に一度は当たり前のように芝居やオペラやコンサートに足を運んだし、週末には美術館や博物館の展覧会が楽しみだった。日用品のように安くて、普通の人々の毎日の生活に空気のように文化が息づいていた。 

と答えています。

そうなんだ、と思いました。実は私も、10日程度のプラハ滞在ですが、オペラとバレエのチケットをネットで入手しました。 一番いい席でも6000円するかしないか、です。安い席なら、それこそ1000円しないのに、あのきらびやかな劇場に行かれます。プラハには劇場やホールがたくさんあって、チケットも安いから、市民の生活に根付いているんでしょうね、とは思っていました。だから、この本のくだりを読みながら、「オペラをもう一つ観よう」「コンサートにも行きたい」と思い始めたほどです。

ドイツは、日本よりは芸術を楽しんでいるのでは?と何となく思っていましたが、少なくともリッツァの意見は異なります。

最近、ソ連邦が崩壊して、経済が悪化していることもあってドイツ系市民が続々とドイツに帰還しているでしょう。私の診療所の患者さんにもいるのだけれど、三年もしないうちに戻りたいと言いだしている。経済はいいけれど、文化がない。子どものことを思うと、帰りたいって。

リッツアはさらに、面白いことを米原さんに言っています。

人柄でいけば、ロシア人て最高じゃないかしら。あったかーくて、お人好しで馬鹿親切で 

ロシア人に対しては、私もポストクロッシングを通して、好印象を抱いています。ロシアの方は、私の好みのカードを選んで、真心こめてきれいな切手を貼ってくれる方が多いのです。ゴージャスな切手やカードが多いという印象もあります。なので、のんびりな郵便事情は憎らしいけれど、ロシア人一人一人のことは、結構好き。

更に、サンクトペテルブルクに住んでいる人からのカードには、「世界一美しい町の一つです」とか、「ロシアで一番きれいな町です」 とか、「自分のこの美しい街が大好きです」などと書かれている率が高いのです。この言葉に偽りはないのでしょう。

大学時代、第二外国語でロシア語を学んだ夫も、「個人としてのロシア人は本当にいい人たちだ」と、先生から何度も聞かされたといいます。

おっと、頭の中をロシアではなく、チェコにしないと! 

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