LESS IS MORE
LESS IS MORE――言わずと知れた、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)の残した名言。それをタイトルにした本を、ようやく読み終わりました。
LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。
- 作者: 本田直之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/06/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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のっけから出てくるのが、幸福度ランキングの話です。ギャラップの2010年の調査結果では、日本の幸福度は81位。では、トップはどこかというと、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンと1位から4位までを北欧の国が独占しているーーというわけです。
ギャラップの最新ランキングでは、少し様子が違っています。1-3位までは変動なし。しかし、日本は44位に浮上しています。2005年から2011年の調査の平均値のランク付けなので、調査した年だけを比較しているわけではありませんが、急上昇しているのはなぜなのか、知りたくもあります。
本の内容に戻ると、北欧の国に限らず、生活満足度の高い国では、「モノが少なく暮らし自体はシンプルですが、豊かな自然や旅をはじめとしたライフスタイル」がある。だから日本人もそろそろ価値観を変えよう、みたいな感じ。
大筋、間違っていないんだろうと思いますが、個人的に承服しかねることがあります。「北欧」とひとくくりにしますが、表面的とはいえ、フィンランドのこの3年間の変化を見てきた経験から、フィンランドの一部の人たちは今、シンプルで素朴なライフスタイルを一時手放し、ヘンな方向に舵を切ろうとしているのではないかと思えるふしがあるのです。
こんなことを感じるのは、わずか3ヵ月ほどでしたが、昨年、フィンランドの企業の仕事をして感じた違和感が発端です。
選考過程から多数決の論理を導入し、その後も、ネット上でたくさんの票を自分のアイデアに対して投票してもらえるように「運動」せよと促されました。フィンランドはものすごく競争社会なのではないか、質より量を追い求めてはいないだろうか、と。それってすごく20世紀的で、私は好かんのです。
私たちがかかわった仕事は時限的・国際的・実験的な仕事でしたから、フィンランドの国内が隅から隅まであのような雰囲気だとはとても思えません。
しかし、今年に入り、スターバックスのオープンにとどまらず、今度は、ハードロックカフェまで市内の一等地に進出するというではありませんか! きのうFBで知り、本当にたまげてしまいました。今まで、そういう、どこにでもあるようなものが存在しなかったことがヘルシンキの良さだったのに(私の個人的見解)、どうして、一体なぜ、何で今さら? (←大きなお世話なんですけどね)
LESS IS MOREを体現してきたような国だと思ってきましたが、「買え買え光線」を発射する免税店をド派手かつ大規模化したヘルシンキ空港の変貌ぶりといい、どうも何かが違ってきてはいないか、勝手に心配している私です。あんなにも自然を愛するフィンランド人が、HRCとか、好むのかな? (←大きなお世話なんですけどね)
LESS IS MOREが頭に残っていたせいか、またもや引き寄せの法則が働きました。まず、ベルリンからのハガキについてお伝えしましょう。
ベルリンみやげをくださったオータさんがドイツから送ってくださったのがこの印象的なハガキです。
Emil Noldeという画家の美術館で買ったそうですが、オータさんが見せてくださったその美術館のブロシュアに、Mies van der Roheの名前が!!
なんというシンクロ! オータさんはこの建築家のことはご存じなく、会話がすぐ次に移ってしまったので、その理由など聞きそびれました。
彼の代表作の一つが、バルセロナ1929年のバルセロナ万博でドイツ館として設計されたバルセロナ・パヴィリオンです。現在の建物は復元ですが、80年以上前にデザインされた建物とは思えないほど、モダンです。
当時のスペイン国王に捧げられた「バルセロナ・チェア」といい、本当にカッコいいと思いました。(2007年に撮影)
低層で横に広い建物の全容は、こちらのサイトでご覧ください。
私と夫は、この建物に隣接するギフトショップで、それぞれ、かっこいいデザインのTシャツを買いました。数年たった今でも、愛用中です。物質的なものが幸せをもたらすこともあるわけですが、先の本が主張するように、シンプルに暮らしたいと思うのであれば、真剣に自分の生活や人生を考え、「自分の意思」で選ぶことが必要ですね。徹底的に選び尽くす、感じ?
Less is Moreーー今週は、さらなる断捨離、やります。ああ、もう何度目?