郵便とリアルでトラベルライフ

旅が大好き! Postcrossingを始めてからハガキで世界旅行。楽しいよ♫

日本の応援隊を増やそう!

どう書いたら、真意が伝わるのか悩みつつも、やっぱりこのタイミングでこのトピックについて書いておきたいと思います。

この夏は、国境問題が一つの大きな話題でした。

そして、このところの中国での激しい抗日デモ――。

きのう、柳条湖事件の日ということで、中国各地で大規模がデモや焼き討ちがあったという報道が流れました。ちょうど、日本語ボランティアの日だったので、どれだけ中国人が来てくれるのか興味をもって出かけました。私が所属しているグループは、普通の日本人(=日本語教師ではない、という意味で)が、日本語を勉強中の外国人とおしゃべりをする場所で、学生や社会人、日本人の配偶者など、いろいろな事情の人たちが集まります。いつも、数人は必ず、中国大陸系の人が来てくれますが、微妙な日なのでどうかな~と思って出かけました。

最初に現れたのは、首都圏の国立大学に通っているS君。心なしか、覚悟を決めたような、神妙な面持ちだったのがすごく気になりました。夏休みに一時帰国していたので、「中国はどうでしたか?」と尋ねたら、「いや、色々ありますから、胸が痛いです」と一言。

「あ、そういう意味じゃなくて。おうちに帰ってのんびりしてきたのかなと思って」と、あわてて言い換えました。それで、彼も笑顔がこぼれ、「喰っちゃ寝、喰っちゃ寝していました」なんて、返してきました。

S君はまじめで正義感があるので、この日、あえて来てくれたのだと私は感じました。2時間のおしゃべりのオフィシャル・パートが終わり、有志で焼肉を食べに行った場で、昨今の日中関係の話題になったそうです。S君はそのとき、中国人の知り合いから非難を受けても日本人を擁護していること、中国系の書き込みに日本人を擁護するコメントを書いていることなどを話したそうです。

「僕たちの留学生の役名(目のまちがいね=Travelsuomi注)は日本で経験したことを知らない人に伝えることにあると思います」なんてデカイこと、S君はFacebookに書いていました。おいおい、別に役目なんかじゃないけど、でも、こういう気持ちはうれしいし、こういう留学生がいることは、日本の方に知ってほしいです!

もう一人、公認会計士のTさんは、近く帰国するということで、お別れのあいさつに来てくれました。何回か通ってくれても、あいさつなしで帰国する人が多い中、帰国準備で忙しいのに顔を出してくれて、誠意を感じました。

「上海に帰ったら、自分の仕事をするのは当然ですが、それ以外の時間に、日中友好のために、中国人の理解を求める働きかけをします」と、みんなの前であいさつされました。なんか、ジンとしました。

日本で一定期間を過ごし、それなりに楽しい経験をしたり、日本人と仲良くなったりした外国の方は、本国で日本のPR部隊になってくれることを、私は経験しています。

2年前、ソウルで、日本語ボランティアに通ってくれていた韓国人数人と再会し、レストランで食事をしていたときのことです。店主が、日本人が混じっていることに気づき、ちょっと意地悪な態度をとり始めました。おそらく冗談半分で、「日本の家はちっちゃいんだってね」みたいなことを言ったのだと思いますが、一緒にいた韓国人が全員、しかも立ち上がって、「それは誤解だよ」「韓国と日本では事情が違うんだから」と口々に言ってくれたのです(会話の内容は、あとで韓国人から教えてもらいました)。最初は勢い良かった店主もたじたじ。

いつもはクールなJさんも店主にかみついていたので、私はビックリです! 「韓国では日本についてネガティブな情報もかなり多くて、そのほとんどが間違っています」と話してくれたものです。

翻って考えると、日本人だって同じですよね。海外で親切にされたり、親しい友だちができたら、その国について誤った情報が流れると、一生懸命否定したくなりませんか? 

今回のことをきっかけに、自戒を込めてここに書きます。特にアジアの国々の人の中に、日本に対して厳しい見方をする人がいること、その理由について、日本人はキチンと知っているでしょうか。「何となく」ではなくて。

たとえば、きのうの抗日運動の理由(口実?)とされる柳条湖事件。私の“高校生用”の世界史教科書の記述は以下の通りです。

1931(昭和6)年9月、日本の関東軍は中国東北地方(当時日本では「満州」とよんでいた)の柳条湖で鉄道を爆破し、これを口実に軍事行動をおこして、東北地方の大半を占領した。これが満州事変で、軍部は国際社会の注意をそらすために、32(昭和7)年には上海事変をおこした。

この部分を読むだけでは、結局何が起きたのか、なぜ、中国でいまだにこんなに問題になっているのか、私には理解できません。

それが、昨日付日経新聞朝刊では、一歩踏み込んだ表現になっています。

柳条湖事件 日本の旧関東軍が1931年9月18日夜、中国・奉天(現在の遼寧省瀋陽)郊外の柳条湖で南満州鉄道(満鉄)の線路を爆破した事件。関東軍は中国側が仕掛けたとして攻撃を開始し、満州事変の発端となった。

要は、教科書で「これを口実に」とスルーしている部分が、実は、日本の自作自演の爆破を中国のせいにしていたのだということを、学校できちんと教えているかどうかなのだと思うのです。日本人にとっては、知りたくない、ましてや、外国人がから指摘されたくない歴史上の出来事ではあると思いますが、私たちが無視したところで、相手側は決して水に流してはくれません。過剰に「自己批判」することはありませんが、感情的にならず事実を淡々と学ばないと、外国の人と対等にすら話ができないのではないか――そのことを憂いていまする(あ、それはまさしく私のこと)。

歴史の時間と言えば、古代を丁寧にやりすぎて、現代史がおろそかだった私の高校時代とは異なり、どうか今の日本の高校生たちが、まずは日本側の視点できちんと現代史を学んでいることを願うばかりです。