郵便とリアルでトラベルライフ

旅が大好き! Postcrossingを始めてからハガキで世界旅行。楽しいよ♫

重たい本を読んでよかった

今、スペイン旅行に備えて、バスク地方の本をたくさん読まないといけないんです。なのに、このタイミングで、図書館から、予約の本がどんどん順番を迎えていて、嬉しい悲鳴。ちょうど外は雪だし、夫は出張で北海道行っちゃったし、プチ断食を試しながら家事を放棄して、読書三昧ときめこんでおります。バスク関係の本は貸出期間を延長できるので、次の予約の入っている人気の本からどんどん片づけ、本日、無事読了したのが、こちら。

私はホロコーストを見た(上): 黙殺された世紀の証言1939-43

私はホロコーストを見た(上): 黙殺された世紀の証言1939-43

私はホロコーストを見た(下): 黙殺された世紀の証言1939-43

私はホロコーストを見た(下): 黙殺された世紀の証言1939-43

内容は「ホロコーストを見た」ことだけではなく、ドイツに支配されて国を失ったポーランド人たちのレジスタンス活動を、内側からつぶさに語った報告書といったところ。きわめて個人的な体験をまとめたものなのですが、それゆえに、細かなことがすごくリアルで、驚きの連続でした。

筆者は外交官を志しながら、赤紙(本当に赤い紙だったというくだりを読んで、たまげた~)で招集されて、レジスタンス活動に身を投じたインテリで、最終的にはアメリカの大学教授になった方です。

実は、読み始める前、「難しそうだし、注がいっぱいだし、時間もないから、読み終わらないだろうな」と思って、とりあえず最初だけ、と思ったら、ぐいぐい引き込まれてしまったのです。

ポーランド人は、第二次大戦で廃墟となったワルシャワの歴史地区を、厳密に再現、再建したと聞いたことがありますが、その気持ちがよく分かるような気がしました。本当に、命をかけて守った祖国なのです。元通りにしないと、悔しくて仕方がなかったのではないでしょうか?

ちょうど、上巻を読み終わったときに、ポストクロッシングでポーランドの大学生にポストカードを出すことになりました。書名は伏せて、「今、あなたの国の歴史についての本を読んでいるところ。色々考えさせられています」と書いて投函しました。

去年、オバマ大統領が、民間人に授ける最高の栄誉賞「大統領自由勲章」を著者に授けたそうです。ご本人はすでにその2年前に亡くなっていて残念ですが、彼のことがまた、世間に知られる一つのきっかけになったのは喜ばしいことだと思います。

ポーランドにもいずれは行ってみたいけれど、この本を読んだ今では、軽い気持ちで観光旅行気分では行かれません。これから旅するスペインのバスク地方にしても、民族紛争が絶えない地ですし、ポーランド同様にドイツの空爆ですさまじい被害をうけたゲルニカにも行く予定なので、本書を読んで本当に良かったと思っています。

先日、ちょっと愚痴っぽく書いてしまいましたが、ヨーロッパ人と一緒に働いたとき、そのメンバーにイスラエル人(当時はローマ在住だった)とドイツ人がいたことを、下巻を読みながら何度も思い返していました。もちろん、仕事の間は何も問題は起こりませんでしたし、二人とも、ふつうに仲良くしていました。

プロジェクトが終わって、「1年後にどっかに集まろうよ」という話で盛り上がったとき(結局、実現しなかったけれど)、イスラエル人Yは、「イスラエルはいいぞ~。両親の家にみんなを泊めてあげられるからさぁ。ね、ね」と熱心に勧誘しておりましたが、ドイツ人男子は、「オレはイスラエルには行かないよ」と冗談っぽく却下。そのとき、Yは「ん~、確かに、ドイツ人がイスラエルに来るときはビザが必要だ」とのたまわったんです。ちなみにジャパニーズな私は、観光目的なら3ヵ月、ビザなしでOK。ほかの仲間たちもおそらくそうでしょう。

みんな、気がつかないふりしていたけれど、「やっぱりなあ」という感じだったんだろうと思います。

日本でのんべんだらり~んと過ごしていた私には、きゅっと身が引き締まる出来事でした。

 

【A.Word.A.Day】

This week we'll be exchanging bodily fluids with you, metaphorically speaking. All five words we've picked this week are coined from fluids that make our body work.

 

sang-froid

noun: Calmness, especially under stress.

( From French sang-froid (cold blood). Earliest documented use: 1750.)