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バスク旅行記⑬ 狂喜・狂気のグッゲンハイム

私たちが愛してやまないグッゲンハイム・ビルバオ美術館ではございますが、この建物自体をためつすがめつするうちに、この物体というかプロジェクトそのものを表現する言葉は「狂気」であるということに落ち着きました。とにかく、やりたい放題やってしまったーー無謀とも思われるプランを悪びれずに提案し、また、それにゴーサインを出して実現させてしまった人たちがいたわけです。

現地に身を置いて一周すれば、みなさん、

「これは狂っている」

と思われるに違いない(と我らは思う)のですが、たとえば、橋の下に建物が突き出しちゃったりしているわけですよ。

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とにかく、建物がキョーレツ過ぎて、その事実を受け止めきれず、なかなか、中に入る覚悟がつきませんでした。そこで、最初の2日くらいは、Puppy(先日ご紹介済み)を見たり、その周りをうろちょろしたりして、だんだんと、この「現実」を受け止め、消化していったように思います。

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 本家本元は、ニューヨークにあるわけですが、私がかつてニューヨークに行ったときには改修工事か何かで見ることができませんでした。あちらの建物もなかなか印象的ですよね。

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 ビルバオの建物、「よくもまあ、こんなに贅沢に作ったよなあ」と思うのが、このチタンの板をぜいたくに使った壁面です。平らな面が一切ないと言われ、設計した人も、建築に携わった人も、「よくやった」と思います。

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 この部分はチタンではないようですが、板と板の間に隙間があいています。

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 裏側に入ってみることができるのですが、何か、若干雑な感じもしないではない。

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 このとき、雨がしょぼしょぼ降っていて、暗かったのですが、外に出てみたら、少しずつ日がさしてきました。

「これは、屋根が光るぞ!」

というわけで、走って、チタン屋根が見えるところを探し、あわててカメラを向けました。

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 こんなに光ってくれたのですが、感動の時間は本当に一瞬でした。

ママンもいます

こちらには、Puppyのほかにもう一つ、目玉のアート作品があります。それがルイーズ・ブルジョワの作品、Maman (1999)です。

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そうです、六本木にもありますね。私はもう一体、ソウルのリウム美術館でも見ました。

このあたり、一定の時間に霧がたちこめるように設計されています。

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最初は何のことかわからずに驚いたのですが、これも作品でした。

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札幌出身の日本人アーチストが手掛けた「霧の彫刻」だそうです。

1997年のオープン以来、世界中から観光客を引き付けているグッゲンハイム・ビルバオですが、あの一種異様な建物に、市民はすっかり馴染んでいるのでしょうか? ジョギングしたり散歩したりしている地元の人がひっきりなしに通りましたから、きっと愛されているのだとおもいます。確かに、角をひょいと曲がると、こんな風景が飛び込んで来たら、それは楽しいですよね。

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去年、実は、グッゲンハイムの分館をヘルシンキに誘致するかしないかが話題になったことがありました。私は、その行く末を楽しみにしていたのですが、ヘルシンキ議会は結局、「今はNO」という結論を下したのです。確かに、こじんまりとして、どちらかといえば平和な感じのするヘルシンキに、前衛的な作品をドッカーンと展示する外資系美術館がふさわしいかどうかと聞かれれば、考え込んでしまいます。そして、彼らが下した結論を、私は、フィンランド人らしいなあと思ったものでした。

ただ、この狂気すら感じさせる建物を見て、私たちは、「限界を作っちゃだめだよ、ねえ」という気持ちになりました。設計したフランク・ゲーリーは「アメリカの鬼才」と言われるように、突出した才能とキャラクターをお持ちの人なのでしょう。彼だから出来た、とも言えますが、私たちだって、最初からまあまあの線を狙う必要もないかもなあ、と、妙な勘違いをしながらも、勇気がちょっとわいたのも事実なんです。

とにかく、すごい建物です。次回はいよいよ、館内へ!