郵便とリアルでトラベルライフ

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不思議の国のアリス×草間彌生

 草間彌生グッズを購入しようと向かった松本市美術館ですが、ポストカードやグッズのラインナップが何となくピント来なくて、

「今日は手ぶらで帰るのか」

と思い始めていたとき、ダメ元で本のコーナーへ行き、こんな素敵な本を発見しました。

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な、な、なんと『不思議の国のアリス』の草間彌生装丁版でございます。

こんな本が出ているとは! 全然知りませんでした。

あのペンギンブックスが版元で、文章はルイス・キャロルの原文と思われたので、とりあえず見本の本を手に取って、本当に驚きました。だって、だって、草間ワールドが炸裂しているんですもの。

へんな話、お話を読まなくても、ほかでは手に入らない草間作品を手元に置けるわけで、ちょっと毛色の変わった展覧会カタログを買うと思えばいい。

「何も買いたいものがないわ~」

とブツブツ言っていた母に、私は、この本を見せて、購入の意思を伝えました。

すると、あろうことか母はこの本を非常に気に入り、

「買え」

とせっつきます。

実は、4千円近い値段に少しひるみ、正直な話、迷っていはいたのです。でも、この母の一言が背中を押してくれました。

よし! レジに行こうとする私の背後から、母は

「買ってあげる、はい」

と言い、お金まで渡されたのです。今回は、お言葉に甘えました。この本を見るたびに、母に買ってもらったんだな、と思い出したいと思ったのです。

買って大正解でした。東京に戻るバスの車中で読み始めてみましたが、次はどんな絵が出てくるんだろう、とワクワクします。物語の筋以上に、デザインを楽しめる、「一粒で二度おいしい」素敵な本です。

見返しから、いきないアートしています。水玉が飛んでいるのです。

そして、目次だって、こうですよ。

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好みは別れるかもしれませんが、この本を企画・デザインした人は、きっと、すごく楽しんでこの本を作ったんだろうと思います。ワクワクが伝わってくるようです。

第一章の出だしはこんな感じ。

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アリスが土手で、「あー、つまんないな」とだらだらしていて、花を摘んでくさりを編んだら楽しいだろうけど、立ち上がって花を摘むのもめんどーくさいーーと思っているときの花は、Daisy、つまりヒナギクなので、草間さんのイラスト(タンポポに見える)とはちょっと違うんじゃないかな~と、突っ込みを入れながら読むのも楽しいんです。

とにかく、すべてのページがそれぞれ違っていて楽しい!!

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字だけのページだって、フォントのサイズを変えてデザイン的に文字をあしらってリズムを出しています。もう、脱帽。

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チェシャー・キャットというニヤニヤした猫が出てきますよね。その、耳まで裂けたような大口のネコが、急に消えたと思えばまた現れたりするので、アリスが「急に出てきたり消えたりしないで」と言う場面です。

文句を言われたチェシャーキャットは

「All right」

と答え、尻尾の方から少~~しずつ姿を消していき、最後は口だけ残るシーンのこのイラストが、私は大好きです!

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この本、どこまで具体的にイラストのデザインを、編集者が草間さんに発注したんでしょう? すごく気になる……。すでに描かれていた作品の中から、ストーリーに合ったものをピックアップして当てはめた、とは思えないのですが、かと言って、すべてがこの本のために新たに制作された作品とも思えないのです。というのも、よく見かける線画の挿絵みたいな登場人物が出てこないからなんです。どちらかと言うと、イメージ的な絵と、不思議な感じを増幅させるタイプのアートが主流。草間さんは「アーチスト」であって、物語を補完するような挿絵は描かないということなのでしょう。

いずれにせよ、草間スタジオと一緒に作られた本のようなので、新たにオリジナル作品を依頼したのかもしれません。

ファンタジーはそもそも、若干おどろおどろしいものだから、草間アートとは相性がいいなと、個人的には思っています。

草間さんは、きっと、このお話をお好きなのでしょう。だって、こんなこと言っちゃってますから。

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松本市美術館では、この本と一緒に数枚のポストカードを買いました。今思うと、この本のイラストのカードがセットになっていれば、ぜひ入手したいところです。

買ったものを入れてもらったのが、こちらの袋です。

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どこまでもヤヨイ様が追いかけてくる松本市美術館なのでありました。