郵便とリアルでトラベルライフ

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アヤソフィアの「モスク化」

イスタンブールの大人気観光地(とあえて言わせていただきます)アヤソフィアが、再び宗教施設としてのモスクに戻ることになり、先頃、金曜礼拝が行われました。その判断が下った時に、「ええ、何でぇ! そんなの困る」という非難の声が上がったというニュースをテレビで見ながら、私は、「別にいいじゃん」と思っておりました。昨年、勉強不足のままトルコを初めて訪れ、アヤソフィアが「博物館」として使われていることを知った時に、むしろ違和感を覚えたからです。あの建物は、どう考えても宗教施設です。

アヤソフィアは、元々は東ローマ帝国の首都に建てられたキリスト教の聖堂です。その後、焼失と再建を繰り返し、21世紀の私たちの前に現れる建物の外観はこんな感じでした。

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写真には写っていませんが、ミナレットという塔に四方を囲まれているところはモスクそのもの。ドームがあるだけでもイスラム教の雰囲気プンプンですが、はキリスト教の教会風な箇所もあります。

内部は、一瞬「イスラム教の勝ち」と思いきや、あれま、キリスト教の聖画が高い位置に鎮座なさっているではありませんか! これは悩ましい。

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第一次世界大戦オスマン帝国が滅んだ後、トルコ共和国を建国した初代大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクは、アヤソフィアから宗教色を廃し、博物館として公開することを決めました。ですから、私がこちらにお邪魔したときは、博物館でした。

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これらのモザイク画(おお、ジーザス!)を見ると、キリスト教会だった時代があるのは明らかではあるのですが、その後はモスクとなってからは、偶像崇拝を禁止するイスラム教の元、偶像の類いは漆喰に塗り固められたのは残念なことでした。でも、破壊されなくてよかった!

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イスラム教にもキリスト教にも与しない立場からすると、アヤソフィアは「どっちでもある」。変な表現ですが、両性具有というか。とにかく、あそこは宗教施設ですよ。そして、現在のトルコ共和国イスラム教徒が多いのであれば、モスクとして活用することもありなのではないか、というのが私の偽らざる感想でした。モスクになったとしても、モザイク画が再び漆喰で隠されるわけではないらしいし、お祈りの時間が終わったら、観光客を入れてくれるというし。

そもそも、モスクはいつでも誰でもウェルカムなのだと、現地のトルコ人ガイドさんが力説されていました。だから、博物館からモスクになっても、外国人観光客には実質的な問題は少ないはず、と思えます。

キリスト教徒が「我慢できない!」と諦めきれないのであれば、キリスト教の礼拝用にたまには貸し出してあげればいいのにな。

そもそも、私がこんなに”寛大な”態度をとっているのは、ほかにも、複数の宗教に利用された歴史を持つ両性具有の建物があるからです。超イスラム教の建物の中に当然のような顔をして教会が存在したりするから、世界は面白いです。

コルドバのメスキータ

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ここは、本当に笑いました。いえ、まずは、感動、感動、感動。私はここの唯一無二な雰囲気とゴージャスさと非日常な空間にやられました。本当にす・て・き!

スペインのアンダルシア州コルドバにある通称メスキータです。正式には、Mezquita-Cathedralーーまたしても両性具有な感じでしょ。

今ではバリバリのカトリック国のスペインですが、かつてはある地域をアラブ人が支配していた時代もあり、長い歴史の中で、建物の属性も揺れました。オレンジ色と白の印象的なイスラム趣味のアーチの森をさまよっていくと、あら不思議、カテドラルに到着してしまうんです。いやー、イスラムの世界に浸っていたらカトリックのエリアにいきなり遭遇。ビックリしましたわよ、本当に。

このポストカードは、ポストクロッシングのフォーラムで、スペインの方からいただきました。うれしーです。

トレドのシナゴガ・サンタマリア・ラ・ブランカ

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もう一つ、スペインには興味深い宗教施設があります。ここは、残念ながら行ったことないんです。

かつてトレドを旅した時に、夫がふと

「今回はシナゴガ・サンタマリアには行けなかったね」

とつぶやいたのです。え! シナゴグはユダヤ教じゃん、でもサンタマリアはカトリックよね。そこは一体どっち!?

そのとき以来、シナゴグなのかカトリックの聖堂なのかハッキリしない場所に、私は並々ならぬ興味を抱いてきました。

こちらの施設は現在、英語では Synagogue of Santa María la Blanca となっているそうです。シナゴグなんだから、ユダヤ教でしょ、と思いますよね。でも、カトリック的なお名前、という謎。

この建物は複雑な事情を抱えているらしいです。元々は、イスラム教とキリスト教双方の建築様式がミックスしたムデハル様式で建設されたけれど、イスラム教のためには使われませんでした。シナゴグとして建設されたとはいえ、モスクの特徴も備えていたという指摘もあります。ここでまず、ユダヤ教イスラム教が混ざります。

時は流れて、今度はキリスト教の教会に転用され、修道院にもなり、やがては倉庫や武器庫にもなったといいます。宗教団体だけでいえば、三つ巴ですよ。

ある日、ポスクロで、こちらのポストカードが届いたときは、それはそれはうれしかったわ! 初めてお目にかかります、で、あなたは何者?

長い歴史の中で、管理者がどの宗教に代わろうと、敬虔な気持ちになったり平和のために祈ったりする場所として利用するのなら、誰が使ってもいいような気になります。

だから、モスクになったアヤソフィアでも、キリスト教の礼拝やユダヤ教の礼拝だって、順番こにやればいいんじゃないかな、だめ?