郵便とリアルでトラベルライフ

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marimekkoアンテナの威力

私の70代の母は今、フィンランドの代表的なテキスタイルメーカーのマリメッコに夢中です。

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なんせ、フィンランド旅行中に旗艦店でめちゃくちゃ親切にしていただいたうえ、ファクトリーショップでもお得価格であれこれと楽しく買い物をしたのですから、好印象になるのも当然というもの。帰国後、マリメッコアンテナが立ちまくり、マリメッコ情報が、面白いように引っ掛かる、引っ掛かる。

母は東京の郊外に住んでいるので、普段、(いけてない)自分の近所でマリメッコの製品を見ることがない(と思い込んでいる)のですが、用事で都心に出たときに、何人か若い子がマリメッコのバッグを提げて歩いているのに遭遇し、いちいち「今日は、こんなのを見た」と電話で報告してきます。そして、「ショックを受けたわ~」で締めくくられるのです。

昨日は午前中、早い時間にかかってきました。

近所の手芸店でマリメッコ風の布を見かけたので、それでAラインのワンピースを作ってみようというのです。

「じゃ、私にも一枚お願い!」と言って切りました。適当に切り上げないと、長引きそうな雰囲気なので、自衛措置。

そして午後。

「昨日、NHKのプロフェッショナルを見てたらね」で始まったので、「私も見た見た」と話を合わせて聞いていました。その日のプロフェッショナルは、北九州の小学校教師。いい先生だなと思ったので、そのことかと思いきや、こうきました。

「あの先生を囲んで、夜、勉強会しているシーンで、その部屋の壁にマリメッコのあの布にそっくりなのがかけてあったのよ。ちょっとしか映らかなかったから、マリメッコかどうか分からないけど、よく似てたんで、ショック受けたわ~」

母が言っているのは、マリメッコを代表する「unikko」というパターンだと思われます。フィンランドで行ったファクトリーショップ前には、赤いunikko柄のパラソルが置いてありました。

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そこでいただいた袋にも、赤いunikko☆

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しかし、感動のテレビ番組を見て、わざわざ電話かけてくるネタが、そこ? 私は気が付かなかったので、チラッと映ったのがマリメッコの布だったのかどうか、真相は分かりません。でも、そんなことで「あら!」と胸をときめかせ、「ショックを受けたわ~」と言っている母を、微笑ましく思うわけです。

ちなみに、その番組を見てびっくりしている人が、私の知人にいます。彼はその先生の教え子なんですって! 彼のタイムラインには、彼の同級生と思しき人たちが「驚いた」とコメントしていたりして、こっちの話の方がはるかに衝撃的だと思うんですが……。

さて、夜。母から、「布を買ってきた」という報告でした。その話がスゴイ。

「お店の人ったら、私が聞きもしないのに、『この布は、元マリメッコにいたテキスタイルデザイナーさんのデザインなんですよ。今は京都でお仕事されているんです』って言うわけ」

もちろん、ピン!ときました。脇坂克二さんをおいてほかにはあり得ませんよ。

機先を制さないとと、私はあわてて「脇坂さんじゃない? ほら、去年かおととし、母の日に手ぬぐいあげたでしょ? あのブランドのデザイナー」

そうなんです。青山にあるSOU・SOUのショップでかわいい手ぬぐいを2枚チョイスし、母に贈ってあったのです。わが母は今や、マリメッコアンテナがピンと立っておりますので、何と、脇坂さんまで引き寄せてしまったんですね。

興奮して続けます。「その布の周りに、marimekko風な雰囲気の商品がいろいろ置いてあって、下から何が出てきたと思う? て・ぬ・ぐ・い。しかも、私が持っているのと同じデザインよ~」

へ~、そんなことってあるんですね。脇坂さんのデザインされた手ぬぐいなんて星の数ほどあるでしょうに、まさか、母にあげたのとドンピシャで同じものとはね~。

「このお店は新宿にもあるって。そこで布を探してみたら。そうじゃなければ、〇〇(=私)がうちの方に来るとき、今日行ったお店に行ってみるといいわよ。私も付き合うわ」って、あなたが行きたいんじゃないのかい?

marimekkoのおかげで70代だって女子力アップ。ここ数年、身体のあちこちにガタが来はじめて、家にこもりがちで、愚痴っぽかった母ですが、視野が広がって、急に活発になってきた感じです。世界が広がり、興味範囲が広がり、好きなことに関してアンテナが立つと、勝手に刺激されることが増え…おかげで私も、母のおごりで、脇坂デザインの布の夏の服が手に入りそうです。めでたし、めでたし! 

「気になっていることがあると、あっちの方から情報が飛び込んできて、次々つながる感じね~。ショック受けたわ~」

母のこの言葉が、耳の中をこだましております。この勢いで、冬にオーロラを見にフィンランドに行きたいと言い出さないかな? 私も付き合うわ!