郵便とリアルでトラベルライフ

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フィンランドらしきものin 『凍氷』

フィンランド人と働くようになってもうすぐ半年。少し余裕ができてきたので、また、ブログでも書こうかという気持ちになって、では再開のテーマは何にーーと思った時に格好のモノが見つかりました。フィンランド在住アメリカ人作家の警察小説『凍氷』の中に、フィンランド社会のあれこれが面白いように散りばめられていて、すごく勉強になったので、シェアします。 

凍氷 (集英社文庫)

凍氷 (集英社文庫)

 

 

 

この際、ストーリーの展開は実際に本を読んでいただくこととし、私が「おほ!(これはフィンランド人が軽く驚いたりしたときに発する音。日本語の「ええっ」みたいな感じでしょうか)」と思ったポイントをご紹介します。

出産にまつわる休暇

主人公のフィンランド人警官が、出産を控えたキャリア志向の高いアメリカ人妻との会話に、「育児休暇をとることについて考えたかい」という発言が出てきます。妻は「もう二週間も出産休暇をとっているし、育児休暇はわたしには合わないと思うの」と答えてるのですが、それに続く夫の発言が、まさにフィンランド的なんですよ。

「出産後九か月の育児休暇は、フィンランドの母親としてのきみの権利なんだぞ」

その発言に対し、妻が言い返したひとことも、非常にフィンランドっぽい。

「あなたが育児休暇をとって赤ん坊を見てくれてもいいのよ。男性にも女性とまったくおなじ”権利”があるのよ」

育児パッケージ

すべての妊婦(とその赤ちゃん)に、新生児が必要とするグッズがたくさん入った箱が無料で支給されます。おむつとか産着に加え、何と、両親がつかう避妊具なんかもあったりするところが北欧~な感じ。実物の写真を貼り付けます。色彩も北欧~な感じ。

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詳しくはフィンランド大使館のHPの中に詳しい説明があるので、フィンランドの子育て支援をご参照ください。

この箱は、しばらくの間、赤ちゃん用のベッドとしても使えるように、底に厚いシートが張ってあります。何とそのことも、この小説で紹介されているんですよね。きめ細かい!

サウナの後に行う民間療法クッパウス

アジアなどで時々、見かけるカッピング。悪い血を取り除くというのが目的のようですが、フィンランドでも行われているということは、この小説で初めて知りました。kuppausで画像検索してみてください。かなり衝撃的な写真がいっぱい見つかると思います。

父親のためのパーティー:ヴァルパヤイセット

主人公の兄が、主人公に赤ちゃんが誕生したときに「それならこれからヴァルパヤイセットだ」と言います。これは、新生児の父親が男友達を招くパーティーのことです。この本の説明では、ヴァルパートは足の指のことで、ヴァルパヤイセットという名前のパーティーでは、子供の足の指の数だけ酒を飲まなければならない=10杯飲むということのようです。

ほかにも、あれこれこまごまとフィンランドの風習や歴史的なことが出てくるので、それを追いかけながら読むのも楽しい1冊かと思います。かなりドロドロした描写も多いので、そういうのが苦手な方はご注意ください。