フィンランドの教育に興味あり
ここ数年、教育先進国として注目を集めているフィンランドーーきっかけは、OECDが実施してきた学習到達度調査(PISA)の結果の上位の常連にフィンランドが入っているからでしょう。実際、ヘルシンキのほとんどの場所で英語が当たり前のように通じますし、マクドナルドの店員やスーパーのレジで働いている若い子の話す英語のなんときれいで完璧なことか!常々、フィンランドではどうやって英語教育をしているのかは興味がありました。
先月、中学校教師をやっている高校時代の同級生と何年かぶりに会ったときに、フィンランドの授業についての研究発表をやったと聞かされ、つい最近も、ツイッターで、フィンランドの小学5年生がつくった「議論のルール」が話題になっていたりしたので、その概要を知りたくなり、『図解フィンランド・メソッド入門』を読んでみました。(ちなみに、この本は議論のルールについての本ではなく、グローバル・コミュニケーション力についての問題提起の本です。非常に面白い)
- 作者: 北川達夫,フィンランドメソッド普及会
- 出版社/メーカー: 経済界
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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【議論のルール】
- 他人の発言をさえぎらない
- 話すときは、だらだらとしゃべらない
- 話すときに、怒ったり泣いたりしない
- 分からないことがあったら、すぐに質問する
- 話を聞くときは、話している人の目を見る
- 話を聞くときは、ほかのことをしない
- 最後まで、きちんと話を聞く
- 議論が台無しになるようなことを言わない
- どのような意見であっても間違いと決めつけない
- 議論が終わったら、議論の内容の話をしない
いかがでしょうか? 「大人にこそ必要」とすら思うほどです。ちょうど、在職中に学校に森をつくった元校長先生に用事があったので、森の幼稚園のこと(こちらのブログで触れました)とあわせて、この10のルールについてのお考えをお聴きしてみました。メールでの回答では、「建前としては可能」とのこと。う~ん、うまく伝わっていないなあ。私のコミュニケーション力が問われる結果になりましたが、それは別の問題ですので、話題を元に戻しましょう。
先ほどの本によると、この10か条は、授業の中で結構ちゃんと機能しているようです。ふざけている男の子の発言をまじめそうな女の子がさえぎったとき、班長は、男の子のことではなく、女の子に向かって「それはルール違反だよ」と言ったという例が紹介されています。日本でなら、ふざけている子を一方的に注意しそうなものですね。私は驚きましたが、ルール違反なのは、確かに女子の方なのです。発言内容に良し悪しをつけないということは、ルール9に当たると思いますが、大切なことです。
もちろん、常に子供たちだけで議論が進められるわけではなく、先生が軌道修正することもあるようですが、明確化されているルールがあれば、みんなを納得させられる可能性は上がりますね。
小学校から大学に至るまで、日本の学校では話し合いの授業そのものはほとんどありませんでした。議論するうえでの共通ルールなんて存在しませんでした。試しに、日本の国会とかテレビの討論番組に導入してみてはどうでしょう?
さてさて、あとがきに大切なことが書いてありました。
フィンランドの学校では、子どもたちはどのような意見を言うのも自由ですが、必ず理由付けをしなければならないと決まっているそうです。「意見+理由」がセットになって初めて、自由に発想し、表現しているというわけですね。だから、ふざけている子にも一応、意見とその理由を聞いて、筋が通っていればOKなんだと思います。
これを著者は、一定の「型」と表現しています。この「型」は、個人的にすごく参考になりました。何か発言するときに、その理由をセットで考えて言ってみようと思いますし、ほかの人の意見を聞くときも、そう考えた理由も教えてもらえれば、納得が行くことも増えるだろうし、誤解は減るだろうと思えたので。