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そうだよ、仕組みが大事なんだーーという話

昨日の日経新聞朝刊に、JR国立駅の桜並木を守っている会の代表が紹介されていました。地元の小学生と一緒に、活動されている由。

関東以外の版には出ていないかもしれないし、そもそも日経をお読みでない人も多いので、ほとんど知られていない話題だと思いますが、とにかく、昨日のわたしには響いた~。

なぜか。

別に、桜の並木を長年にわたって維持管理されいてスゴイですね、ということを書きたいわけではありません。それより、ここです。

 

大勢の人が桜に近づいて根の近くの土を踏み固めないように、子供たちと一緒に菜の花を植える。「立て看板に『立ち入り禁止』と書くよりよっぽど効果的です」

 

そうそうそう! もう、膝を何度打ったことか。

その逆をしている場所で不愉快な思いをした直後だったので、本当に胸がスッとしたわけです。

日曜日、東京都現代美術館で「桂ゆきーーある寓話」展を見ていた時のことです。

「へー、この絵面白いねえ、ディテールを見たい」

と思ってちょっと(だけ)近寄った私に、間髪を入れず、

「お客様、申し訳ありませんが、この線から先には出ないでください」

と、監視員が声をかけてきたのです。

「あ、すみません」

と反射的に謝ってしまいましたが、私はそのとき、その「線」の存在にまったく気がついていませんでした。そこで初めて足もとを見てみると、フローリングの床に薄~い色のグレーのテープが貼ってあるだけですよ。美術鑑賞に没頭したら、絶対と言っていいほど気が付かない程度の色なのです。それに、何も絵をさわろうとしたわけでも、なめようとしたわけでもないんです。ただ、ちょっとだけ近寄って見てみたかっただけ!

な・の・に

ひえ~、怒られちゃった。

この恐怖心が展覧会を見ている間、心の中にうごめいていて、正直な話、それから後は、せっかくの展覧会を十分楽しむことはできませんでした。

別の部屋では、ほかのお客さんがほんのわずかに上半身を絵の方向に傾けた途端、その部屋を担当していた係の女の子がサササ~と近寄っていき、すぐ後ろにスタンバイ、「線から出たら注意するぞ」オーラを放っていて、それは異様でした。

ハッキリ言って、鑑賞者に対して失礼です。

この美術館は、来館者に美術を楽しんでもらいたいと思っているのか、怪しいもんです。展示品から一定距離に保つことの方を優先しているとしか思えず、何とも残念な気持ちになりました。

もちろん美術品を守るコトは大切です。が、やり方ってものがあるでしょう?

そんなに絵に近づいて欲しくないなら、床の上のテープは真っ赤にして、嫌でも目につくようにするべきだし、それじゃあ無粋だと言うのであれば、おしゃれなバーなりオブジェなりを置いて、それ越しに鑑賞するようにすればいいだけじゃん!

そこで思い出しました。

2003年、この同じ美術館で行われた舟越桂さんの彫刻の展覧会では、規制線やバリケード的なものが一切なかったのです。ちょいと手を伸ばして彫刻に触れることは十分可能でしたが、周囲にいた誰一人として、そんなことをしている人はいませんでした。ですから、みなさんそれぞれに近寄ったり、離れたりしながら、好みの距離からスバラシイアート鑑賞を楽しめたのです。

もしかしたら、「作品には近づいてもらいたい」というのは、舟越さんのご希望だったのかもしれませんね。

真相はともかくとして、私は、お客さんを信頼しきった展示方法と美術館の英断(そのときはそう思っていました)に感激したものです。

ですから、今回の「桂ゆき」展が、同じ美術館で行われているとは、とても信じられないのです。きっと、責任者が変わったんでしょう。

 

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