急に身近になったリトアニアという国
私がリトアニアという国を意識し始めたきっかけは、この1枚のハガキでした。
ポストクロッシングで知り合った、首都ビリニュスに住むIさんが送ってくれたほのぼのとしたイラストのポストカードに、とても心惹かれたのです。
リトアニアーー「バルト三国の一つ」ということまでは何とか分かったものの、正直なところ、興味の外の国でした。そんな私ですが、素朴な手書きの文字のメッセージにも、切手もかわいさにも、心をわしづかみされたのです。
2013年当時は、通貨リタス表示ですね。リトアニアは今年からユーロを使っているため、今となってはリタスは貴重な感じがします。
その後、このIさんとは何回かポストカードのやりとりをしましたが、いただくカードがいつも必ず、美しい。「こんなところに行ってみたいな」と思わせる風景のポストカードや、リトアニア人アーチストの手になるカードなど。Iさんから届くポストカードを通じて、リトアニアという国と出会いました。
そして、2013年、何と、仕事でリトアニアを訪れることが出来たのです。
彼女が暮らしているビリニュスには1泊しかしないタイトなスケジュールでしたが、とりあえず、その旨を伝えてみたところ、「会いましょう」と言ってくれ、間もなく、ビリニュスの旧市街(世界遺産)を空撮したポストカードが届きました。
私が宿泊するホテルと彼女のオフィスを裏側にマーキングしてあったのには笑いましたが、「ああ、ここに行くんだな」とちょっぴり実感が湧いたものです。
初めて訪れたリトアニアでは、ここかしこにソビエト時代の残り香を感じました。1991年に共和国として再独立を果たすまで、息をひそめるようにして暮らした日々は、さぞつらかっただろうと想像がつきました。そのくらい、首都が寂しい感じだったのです。
今回、わずか2年しか経っていないのに、ずいぶんと華やな印象でした。
大聖堂では、地下構造を案内してくれるツアーに参加してみました。普段はなかなか入れない場所を、リトアニア系アメリカ人(とおもわれるグループ)のご老人たちと一緒に回り、彼らの祖国に対する思いを垣間見られたのも面白かったです。
大聖堂と塔の間くらいにあるこの敷石には、STEBUKLAS(奇跡)と刻んであります。ガイドブックには、ここで目をつぶって右回りに三度回ると願いがかなうと書いてありますので、その通りにやってみました。前回もやってみて、そこそこかなったという経験もありますので。
ここがなぜ「奇跡」なのか、これは後日、描きたいと思います。
さて、ビリニュスの旧市街は、ほかのヨーロッパの都市と同様にくねくねした石畳が網目状に広がっていて、迷いながら歩くのが楽しい場所です。
落書きの類で気に入ったのがコレ。
他の人には見えないものーーたとえば平和とか、信頼とか?ーーそんなものを「見る」ことが大切だと、ビリニュスにいると自然と思えてしまうんですね。祖国とか、平和とか、そんなことを折々に考えながらの旅になりました。
つづく