郵便とリアルでトラベルライフ

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美しきアメリカの手紙

人間の美しさとはこういうことだ。私はこの動画を見ながら、涙がこらえられませんでした。

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 ニューヨーク州のクオモ知事の記者会見での一幕。

Covid-19の感染が止まらない中、「困っているニューヨーク州の医療従事者に届けてください」と、5つ持っていたマスクのうち1つを提供してくれた元農家の男性からの手紙が読み上げられました。

手紙の主は、カンザス州に住むデニスさん。奥様は片肺しかなく、糖尿病も患っているといいます。ご夫妻とも70代ということは、コロナに対するリスクの高いグループです。その中で、かつて農業で使っていた高性能のマスクの残り5枚のうち、4枚は手元に残し、1枚をクオモ氏あてに送ってきたのでした。

この手紙のエピソードそのものが、感動巨編ですが、そこにつながるクオモ氏の哲学を感じさせる導入部分もぜひ、聞いて欲しい。クオモ氏とご自身のおばあ様の思い出が紹介されています。おばあ様はクオモ少年に言いました。

「平時なら『いい人』を演じることはたやすい。その人の本質が現れるのは、苦しい時なのよ」

世界中が困っている中で、このカンザス州の元農家のおじさまは、「どうか、ニューヨークの医師か看護師に、このマスクを届けてください」と、貴重な、貴重なマスクをプレゼントしました。しかも、自分の手紙がクオモ氏に読んでもらえることをまったく期待もしてなかった(とにかく知事はお忙しいでしょうから、と)というではありませんか。売名行為ではないことは明らかです。

クオモ知事は、きっと世界中の人に語りたかったのでしょう。

「マスクが5枚あったら、あなたは、5枚とも自分で持っていますか? 隠しますか? 4枚は家族のためにとっておくけれど、1枚は必要な人に差し上げますか?」

アメリカのTVでは、手紙の部分だけを紹介しているのがメインのようで、マスメディアが飛びつきやすいネタであったことは理解できます。でも、動画でもっと長めのバージョンが見られる私たちは、「苦しい時にこそ、その人の本質が現れる(あなたはどう行動しますか)」の箇所から何度でも見ようではありませんか!

日本の政治家たちによる、このレベルの会見が見られる日は来るのでしょうか。場当たり的に、あれをやったりこれをやったりする姿ではなく、筋の通った「哲学」を、私は聞きたい。

冒頭に張り付けた動画のリンクがうまく動かなかったら、Cuomo、Kansas、letterで動画検索してみてください。5分程度の尺があれば、手紙を紹介する前の導入部分も入っているものが見つかると思います。

余談ですが、デニスさんを紹介するニュース番組の動画もありました。素朴そうな、清い心を持った田舎のおじ様とお見受けしました。人から言われたからではなく、自分で考えて行動した、自立した立派な市民ですね。こういう人々の集合体であるかどうかが、その国が今回の感染症を早く克服できるかどうかの分かれ道なのではないかと思ったりしています。

これから、アメリカ人にポストカードを出すことになったら、このエピソードに感動したことを必ず書こうと思います。

それにしても、手紙っていいですね~。あらためて、そう思いました。