郵便とリアルでトラベルライフ

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犬の切手

ロシアから届いたポストカードに貼ってあった犬の切手には、美しく悲しい物語が隠されておりました。

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送ってくださった方が切手愛好家(若い女の子)で、それは詳細な説明を書いてくださいました。それが、なんだか泣けるストーリーなのです。

この切手は、2016年、モスクワのワールド・ドッグ・ショーのオープニングに合わせて発行されました。ワンちゃんはジャーマンシェパードの子犬で、お名前はDobrynya。発音は不明です。Dobrynyaというのは、ロシアで最も古い男性の名前の一つであり、ロシア叙事詩で人気の高い王でもあるそうです。

さて、この犬が切手のデザインに選ばれたのはなぜか。発行された前年のパリ同時多発テロ事件に関係しているのです。パリ市内のテロ事件の犯人を追ってパリ郊外のサン=ドニ地区に派遣されたメスの警察犬のDieselが、職務中に銃弾に倒れました。Dieselはベルギーシェパードでした。

Diselの死後まもなく、フランスとの連帯の証に、ロシア内務省は代わりの子犬を駐ロシアのフランス大使にプレゼントしました。それが、切手のデザインに採用された子犬なのだということです。

私は、Dieselのことはおろか、ロシアから送られた子犬のこともまったく知りませんでした。調べてみたら、日本語メディアでも報道されていたくらい有名な出来事だったのですね。Wikiにも紹介されているので、よろしければLegacyの箇所をご一読ください。

ポストカードの送り主さんによれば、Dobrynyaというのは「kindness」という意味だとのことです。こういう洗練された外交政策をとるところが、大国ロシアの真骨頂だとすら思ったものでした。

切手1枚にこんなにも深く広く悲しく、そして温かい思いーーそしておそらく狡猾な狙いまでもーーが込められているとは、侮れません。